『セコンド』は文字通りセコンドを主人公にしたボクシング漫画です。主人公は中年トレー
ナー 大松清司(ダイマツセイジ)。必殺技は止血(本人未確認)。平成を代表するボクシング
漫画、週刊少年マガジンの『はじめの一歩』(以下『一歩』)なら
鴨川が主人公と考えれば若い子にもわかりやすいだろうか。
『セコンドが主人公?地味だなぁ・・』と思ったら鋭い。
しかし紙一重で的を得てないのだよ。『セコンド』は確かに地味。限りなくノンフィクションに近い
真面目で現実的な作品である。ジョルトカウンターやドラゴンフィッシュブローなんてもちろん
出てきません。
大衆受け(つまり長期連載)しないのは、当時11歳の俺の子供心にもひしひし感じてた。
絵もどちらかと云えば劇画風で子供向けではなく、普通の小学生なら鼻歌混じりに
読み飛ばしてしまうこと請け合いです。
ところがどっこいこの地味さの奥には
深い感動と人生訓、そして崇高なお笑いが確かに在った!
当時小学生の俺は単行本を発売日に購入。
在庫は残り最後の一冊だった。
すごい売れてるんだなぁ・・(嘘)。
当時俺の熱心な勧誘でクラス男子の大半に
セコンドイズムは普及していた。しかし時の移ろいは
少年をいつしか大人にし、『セコンド』を忘却の彼方へ連れて行った。しかし時なんかに負けて
たまるか。俺はこの眠れる名作を今再び世に問いかけたい。地元のみだったセコンドマニアを
全国規模に拡大したい。
「大松さんの止血技術はスゴイよね。」「ロッキーの話は泣けるよね。」
と、熱っぽく語り合えるようになったらどんなに素晴らしいだろうか。『セコンド』を知らない
子供達、忘れていた大人達が一人でもセコンドに興味を持ち、古本屋を捜索するようになって
くれれば『してやったり』といったところだ。
物語の特徴として、主人公がボクサーである他漫画と違い、出てくるボクサーが毎回違う
ということが挙げられます。セコンド大松はもちろん毎回出てきます。
何故って、不動の主人公ですから。
つまり『セコンド』は、セコンド大松に焦点を合わせ、
セコンドの立場から色んなボクサーたちを書いた作品なのです。このコンセプトは、『あとがき』で
作者御本人が言っているので間違いありません。
『セコンド』はたったの6回で終っている。各話をround 1、round 2と、ラウンドに例えている。
最終回6話目はfinal roundである。
あんまりだ。これじゃ6回戦ボーイじゃないか
※1、
せめて12ラウンドやってくれよ。
(1999/06/18)
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